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記憶喪失
「えーっと、じゃあミラーク!・・・ミラーク、ミラーク・・・ミラくんって呼んでいい?」
「・・・良いですけど。」
どうしてそうなった。突然俺のあだ名が決定してしまった。ていうか決め方適当すぎだろ。まぁ、別にどうでもいいけど。
「ちょっと、敬語やめてよー。赤の他人みたいじゃん。ほら、私たち赤の他人から知り合いくらいにはランクアップした感じしない?」
そう言ってアリシアは笑った。俺からしたらまだ他人だけど、敬語はよせと言われたので普通に話すことにした。歳も近いっぽいし。
・・・さて、俺がいちばん気になっていることを質問させてもらおう。
「・・・あの、捜し物って言ってるけど、何か手がかりはあるのか?ほら、どんな形だったかとか。」
「んー・・・」
そいつは目を瞑り、腕を組みながら俯いた。記憶を辿っているらしい。
何秒か経った後、アリシアは顔を上げた。そして俺に向かって満面の笑みで、
「・・・ない!」
と答えた。・・・うん、予想していたいちばん最悪な事態が起きた。手がかりが無いんなら、捜す手伝い・・・っていうか、旅の終わりはあってないようなものだ。
「ないんなら、どうするんだ?これから先、どこに向かうかくらいは考えているんだろうな?」
「え?・・・あー、ほら、世界はいくら広くても限りがあるじゃん!だからさ・・・ね?」
ね?じゃねぇよ。こいつダメだ、多分直感で行動する系の人間だ。俺はどちらかというと
筋道を立てて行動するほうだから、あまり気が合わないかもしれない。
・・・さて、失くしたものを捜すにしてもこっちの準備がまだできていない。とりあえず今日は解散しよう。一旦別れたらもしかしたら捜すこともなかったことにできるかもしれない。
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