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脳内でツッコミのオンパレードを繰り広げていたところにいきなり名乗られたので、俺も反射的に自己紹介をしてしまった。
「お、俺はミラーク・リーベ・ソリテール・・・ん?よろしく?待て、どうして俺が手伝うことになってる?」
するとその人・・・アリシアは少し首を傾げ、そのエメラルドの瞳をうるうるさせながら、
「・・・ダメ?」
と俺をじっと見つめた。残念だけど俺はそれでわかったというような優しい奴じゃない。
「ダメ!・・・ていうか、無理です、無理。他を当たってくれます?」
俺が少し強めの口調で言うと、アリシアはそんなぁ、と顔を曇らせた。
「うー・・・あ!じゃあさじゃあさ!」
アリシアは何か思いついたらしい。パッと笑顔になり、人差し指を立てた。絶対ロクなことじゃないと思うが・・・
「今から何かしらで私がミラークを助けたら、手伝ってもらえる?」
何かしらで、助ける?この人は馬鹿なのか?何かしらでなんて大きなトラブルのときぐらいしか助けられないだろ。絶対無理だろ。
「・・・まぁ、何かしらで助けてくれたら考えるかもしれないけど、その前に俺はもう帰るんで。じゃ。」
本当に面倒な人に会ってしまった。こういうときは逃げるのが一番だ。俺はくるっと後ろを向いて、歩き出そうとした。
「あ・・・え、ちょ、待って!ウェイト!ストーップ!!」
後ろでなんか言われてるけど、気にしない気にしない。
「ストップ!一旦止まって!」
・・・うるさ。ちょっと黙っといてほしい。
「ねえ!聞こえてるよね!?マジでちょっと!一瞬止まって!」
「うるせぇな!・・・どれだけ頼まれても、捜す気はないですから。」
あ、俺としたことが・・・声を荒げてしまった。ちょっと冷静にならないと・・・
「あ、えーっと・・・そうじゃなくて!」
・・・そうじゃない?じゃあ何なんだ?
「足・・・」
さっきまでの明るい声から一変した、その人の震えた声に釣られ、おそるおそる足元を見た。
おどろおどろしい何かに、足首を拘束されていた。
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