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「何だ、これ・・・」
これって・・・さっきアリシアを引きずりこもうとしてたやつか?まだ諦めていなかったのか。
そんなことより、これ、思っていたよりもかなり力が強い。ぐいぐいと下へ下へ、引っ張られる。
「ほら、つかまって!」
すると、アリシアが手を伸ばしてきた。沈んでゆく身体に反発し、ようやく指先が触れた、その時。
「!?くっ・・・」
黒い腕のようなものが下から伸びてきて、俺の腕を掴んだ。そして、あっという間にもう片方の腕も掴まれた。音がしそうなくらい強く、千切れそうなくらいの痛みを覚えた。もう離す気はさらさらないようだ。
どうせ生きた心地がしない人生が続くのなら、ここで死んだ方がマシかもな。
そう、諦めかけた。いや、俺は諦めたんだ。
でも、あいつは諦めてくれなかった。
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