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「・・・じゃ、とりあえず今日は自分の家に帰って、また明日会おう。そっちは準備万端かもしれないけど、こっちはまだ全然できてないからな。」
「え!?あ、あのぉ・・・。」
先ほどの元気な声はどこへやら、アリシアは控えめに、おずおずと何かを尋ねてきた。
「何だ?」
「わ、私、自分の家の場所分かんなくて・・・はは、ほら、記憶喪失ってやつ?」
そいつは困ったように苦笑しながら、
しかしさらっと重要なことを言った。えっと、きおくそうしつ?記おくそう失・・・
「記憶喪失!?おい、お前一体何をしでかしたんだ?」
「知らないよ!気がついたときにはあの丘にいて、多分三日くらいうろうろしてたんだけど何にも見つからなくて・・・あ、でもでも!名前は覚えてるし、何かを失くしちゃったのも本当に覚えてるの!」
これは予想していなかった。まさか記憶喪失とは・・・しかもなんだか重要なところだけぽっかり穴が空いてるみたいだ。っていうか、家の場所が分からないならどうするんだ。・・・待てよ?
「まさか、俺の家まで付いていくつもりか?」
「え、ち、違うよ!いくら私がここ三日間野宿だからって、お家の中のソファかベッドでごろごろしたいとか思ってないから!」
いや、違くないだろ。本音がダダ漏れなんだが。まさか、気付いてないのか?
「ふーん・・・付いていくつもりなんだな?」
「えっ、なんで分かったのぉ!?ミラくん超能力者!?」
・・・やっぱりこいつ馬鹿だ。
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