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オープニングゲーム
何か奇妙な感じだ。そう思い始めたのは六回表の攻撃の時だった。
ほとんど真上に高く打ち上げてしまったキャッチャーフライが、上空の風に押されてバックネットに向かって流れて行く。ファールになってくれ、と願いながらボールを目で追うが、フライはネットを掠めるぎりぎりのところで落下してきた。東京フライヤーズのキャッチャー・細久保はネットに片手を掛けながら、ミットを巧みに使ってそれをキャッチする。
スリーアウト。これで三打席ノーヒット。開幕戦とあってびっしりと人で埋まった観客席のところどころから、口汚い野次が飛ばされる。
それも無理はなかった。一回に新外国人ルーカスのソロホームランで幸先よく先制はしたものの、それ以降は拙攻続きで無得点。この回もノーアウト一二塁のチャンスを作りながらあっさり併殺で潰してしまい、そして今の凡フライだ。先発の若い真田が好投しているだけに、早く楽にしてやりたいところなのに、これだ。敵地とは言え同じ首都圏のチーム同士、私たち横浜マリンスターズのファンも多く詰め掛けている。見ている方としても苛立たしさが募る展開だろう。
そうして舌打ちを漏らしながらダグアウトに戻る途中で、ふと、その「奇妙な感じ」は襲ってきた。今と同じことが、前にもあった。
最初はそのことが、どうしてそれほど奇妙に思えたのかがわからなかった。なにしろ今年でプロ十五年目だ。出場した試合は千試合を去年越えた。それだけ試合をしていれば、同じようなキャッチャーフライだって何十本と打ち上げてるはずだった。
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