十姉妹

2/7
前へ
/7ページ
次へ
家の近くに牛乳工場がありそこの横に空地があった。その頃からだんだんに新しい家が建ちはじめていてちょうど家と家との間にぽつぽつ小さな空地ができ始めたていた頃だった。その一つに小さく土をもり上げていた所があった。その山に幾つかの蟻の巣あることを僕は発見したのだ。 僕は家にあった園芸用の小さなシャベルを持ち出し、それを爆撃機のように見たて、ブーンと声を出たて、シャベルを旋回させたりしながら、空地に向う。着くとシャベルの腹で山の上を這い回っている蟻を何回かたたき殺す。あたかも自分自身がテレビの怪獣にでもなった。蟻達には正義の味方もいない。シャベルで蟻を巣に追いやると、巣穴に蟻は逃げこんだ。僕はそれをおう。ザクリと僕は穴を掘り返す。ザクザクと、蟻がどっと逃げだしてくる。かたっぱしから踏みつぶす。やがて白い卵のようなマユがでてくる。蟻達はそれをかかえ逃げる。それらの蟻もかたっぱしから殺すのだ。このほかにも蟻の巣に水を流しこんだりした。今から思うと、この残酷な行為にしても、蟻をオモチャにしていた。  クラスにカッパちゃんという渾名の男の子がいた。カッパちゃんはよく虫を持ってきたりしていた。カマキリのメスがオスを食べてしまうのを見たのも逆三角形の顔にひょっこりと細い形体の)カッパちゃんが持ってきたのだった。カマキリのメスはパリパリと草のくきでも食べたようにオスを食べた。 「産卵の為に食べるんだよ」     
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加