十姉妹

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 カッパちゃんは言った。僕はその時、遠い神秘を見るような気がした。  それを見て僕自慢げに、クラスの仲間達に、蟻を殺すことを勇者になったような心持でみんなに報告していた。  みんなはオレもいくと僕の話にのってきた。それほどまでに僕ら少年達にはすばらしいことだったのだ。僕はとってもはしゃいでいた。みんなにこのすばらしいことの報告をしていたのだと思っていた。カッパちゃんにも、みんなと同じように感心するだろうと思い、「面白いぞ」と言うと、彼は、まじ目な顔でじっと見て 「そんなことかわいそうだよ」と言った。 僕はびっくりした。今まで気も付かなかったことを指摘されて、自分がひどい罪悪人になったような気がしたのだ。  そのあくる日、みんなが例の山に集まった僕の家に弁当もちで、蟻の為にということでその山にくいを打ちこんだり、プールを作ったりして蟻のための公園を作るとしたのだ。僕らは真剣だった。常にそれにかっこつけた遊びではなく、本当に蟻の為になると思ったのだ。  おやつを駄菓子やで買って三時頃みんなでかしをくいもどると、打ちこんだくいや、プールにとしたビニールに水をためたものがメチャメチャになっている。     
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