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誰言うとなく、ケンタだと言うことになった。その男は僕らより一学年下であったが、僕らと同い齢だった。イタズラばかりして、幼稚園お子を集めてはリーダーにでもなった気で威張っている。彼は僕らにはそして彼は交通事故で後遺症がのこって、その為に一学年おくれたんだと言うことになっていて、彼の行動が、僕らの冷笑をいつもかっているのだった。
僕らは彼の家に行き、家の前で小さな子供と遊んでいた彼をむりやりつれていた。彼は向らの抵抗もなく、僕らに従った。僕らはまるできょう悪犯でも連行する刑事にでもなったつもりで彼を、うしろから小突きながら、
「おいどんどん歩け」
「さっさとしろ」などと言いながら歩かせた。
「おいお前がやったんだろ」
「わかってんだぞ」
「やるのはお前位しかいないんだ」
彼は無言でうなだれているだけだった。ちがうともそうだとも言わなかった。僕らはいい気持ちになり、優越感にひたりながら彼をせめていた。
やがて彼の兄が、幼稚園の子から聞いてかけつけて来た。僕らより無論年上である。
「いったいなんの証拠が出るんだ。えっ」
僕らは答えられなかった。彼がやったとのが然だと思っていたのだ。僕らは、一つずつ彼の前でこづかれ、去ってゆく兄弟を見ていた。
何日か後、小学校一・二年の下級生が話しているのを聞いた。後ろで聞いているとあのことの真犯人のようであった。しかしその時は別に何も感じなく、仲間達にもしらせなかった。もうどうでもいいことになっていたのだ。
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