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十姉妹
僕は少年時代の一時期 蟻を殺すことに熱中していたことがあった。
地面に這いつくばってゴチャゴチャと這い回る黒い蟻をつまみ上げて惨酷な行為をくわえるのだった。
家の前のコンクリートにペタンとすわりこみ蟻の触角をむしりとったり、足をむしりとったりした。
蟻がいやがっているのがよくわかった。触角をむしりとり、一時はなしてやる、僕は触角が蟻にとって必要であることを知っていた。少年向けの化学の堆に載っていたとおりになるのだろうかという興味もあってそのようなことをしたのだ。
そして触角をむしり取られてフラフラしている蟻を「これからかわいそうだ。触角を取られたら方向も砂糖も見つけることができないんだ」という理由で、足でふみつぶした。踏まれたあと、コンクリートの上はわずかにぬれていた。
又、六本の足の二本か三本の足をむしり取り、ビッコをひく蟻も殺した。あるいは頭部のみをむしり取ったり、腹をむしり取ったりした。その時主に腹の部分から白い液体が流れ出た。
蟻の巣を覆えした時もある。
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