19人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「もし、お前があいつと不倫をしていたとしたら・・・」
「・・・バカ言わないでよ」
「俺が死んだ後に、お前があいつと付き合うとしたら・・・」
「・・・いい加減にして!」
「俺が死んだ後の保険金が、あいつと暮らす為の金だとしたら・・・」
「・・・」
「もし、この弁当やナオキが生まれてからの5年間、俺の食事に薬品が入っていたとしたら・・・」
「・・・もう、やめて・・・」
そして、ナオキが・・・
「ナオキが、俺とお前との子供ではないとしたら・・・」
「!!!」
「もしかして、これまでの俺の10年間は、あいつが描いた人生だったのか?」
「・・・」
「お前と結婚した事への、逆恨みで俺を陥れる為の計画だとしたら・・・」
「・・・」
サッカーボールが、こっちに転がってきた・・・
「パパァ、早く早くぅ~」
ナオキが笑いながら、大きく手を振っている・・・
「・・・フッフッフッ」
隣でアキエが笑っている・・・
子供の顔が・・・
ナオキの笑った顔が・・・
愛するナオキなのに・・・
自分の子供のはずなのに・・・
俺が立てた仮説は、当たっていたのか?
なぁ、アキエ?
どうなんだ?
答えてくれよ?
間違っていると言ってくれよ!!!
次第に、目の前の平和に見えた光景が歪む・・・
ゆらり、ゆらりと、空間が歪む・・・
「・・・」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「フッフッフッフッフッ・・・」
「くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
「アッハッハッハッハッハッハッァァァァァァァァァ」
ナオキの顔が・・・
ナオキの笑った顔が・・・
あいつの・・・
あいつの笑った顔に見えてきた・・・
これがお前の言う、プレゼントだったのか・・・
俺が築き上げてきた10年間は・・・
脆く儚く・・・
溶けて崩れた・・・
最初のコメントを投稿しよう!