秘密の三重奏(トリオ)

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「もし、お前があいつと不倫をしていたとしたら・・・」 「・・・バカ言わないでよ」 「俺が死んだ後に、お前があいつと付き合うとしたら・・・」 「・・・いい加減にして!」 「俺が死んだ後の保険金が、あいつと暮らす為の金だとしたら・・・」 「・・・」 「もし、この弁当やナオキが生まれてからの5年間、俺の食事に薬品が入っていたとしたら・・・」 「・・・もう、やめて・・・」 そして、ナオキが・・・ 「ナオキが、俺とお前との子供ではないとしたら・・・」 「!!!」 「もしかして、これまでの俺の10年間は、あいつが描いた人生だったのか?」 「・・・」 「お前と結婚した事への、逆恨みで俺を陥れる為の計画だとしたら・・・」 「・・・」 サッカーボールが、こっちに転がってきた・・・ 「パパァ、早く早くぅ~」 ナオキが笑いながら、大きく手を振っている・・・ 「・・・フッフッフッ」 隣でアキエが笑っている・・・ 子供の顔が・・・ ナオキの笑った顔が・・・ 愛するナオキなのに・・・ 自分の子供のはずなのに・・・ 俺が立てた仮説は、当たっていたのか? なぁ、アキエ? どうなんだ? 答えてくれよ? 間違っていると言ってくれよ!!! 次第に、目の前の平和に見えた光景が歪む・・・ ゆらり、ゆらりと、空間が歪む・・・ 「・・・」 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」 「フッフッフッフッフッ・・・」 「くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」 「アッハッハッハッハッハッハッァァァァァァァァァ」 ナオキの顔が・・・ ナオキの笑った顔が・・・ あいつの・・・ あいつの笑った顔に見えてきた・・・ これがお前の言う、プレゼントだったのか・・・ 俺が築き上げてきた10年間は・・・ 脆く儚く・・・ 溶けて崩れた・・・
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