第1話 ボブ、あらわる

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    〇同・居間    おかっぱちゃんは勢いよく居間のドアを開け、 おかっぱちゃん「お母さん!」    とお母さんを呼ぶ。    対面キッチンで朝食の支度をするおかっぱちゃんのお母さん。 母「おかっぱちゃん、おはよう」 おかっぱちゃん「お母さん、どどど、どうしよう。あああ、頭に変なのが……」    おかっぱちゃんはキッチンに立つお母さんのそばへ向かう。 母「どうしたのよ。そんなに慌てて」 おかっぱちゃん「おおお、お母さん。おおお、おもちついて聞いて」    あからさまに焦るおかっぱちゃん。 母「お餅ついてどうするの。まずあなたが落ち着きなさいな」 おかっぱちゃん「わ、わたしのこと、嫌いにならないでね」 母「何言ってるの。おねしょでもした?」 おかっぱちゃん「してない!5年生に誓ってしてないっ!」    おかっぱちゃんは頭をブンブン横に振る。 ボブ「(タオルにこもった声で)ぼっぶっ、ぼっぶっ」    左右に揺さぶられ、苦しそうな声を上げるボブ。    ボブの声にハッとしたおかっぱちゃんは頭のタオルに手をかける。    ごくりと唾を飲み、おかっぱちゃんはタオルを外す。    おかっぱちゃんの頭から、にっこり笑うボブが顔を出す。    動悸が収まらないおかっぱちゃん。 おかっぱちゃん(M)「どうしよう、どうしよう、どうしよう!  なんだろうこいつ。こわい。私おばけに取り憑かれちゃったのかな!?  祟られるようなことしたつもりないけど、私を食べに来たのかな!?  これって病院?お寺?保健所?どこに駆け込めばいいの!?  ていうかこれ隠した方がよかったのかな。でも隠し通す自信もないし!!」    考えを巡らせながら、お母さんの反応を待つおかっぱちゃん。 ボブ「ぼぶー!」 母「ボブちゃん、おはよう」    お母さんはボブににっこり笑いかける。 おかっぱちゃん「は!?」    ずっこけるおかっぱちゃん。 ボブ「ぼーぶ♪ぼぶっ♪」    ボブは鼻歌を口ずさんでいる。 母「今日もボブちゃんはごきげんね」 おかっぱちゃん「ボブって……お母さん何でこいつのこと」 母「ほら、早くご飯食べちゃいなさい」 おかっぱちゃん「ちょっとお母さん!」 ボブ「ぼーぶ!」
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