第1話 ボブ、あらわる

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○同・居間 ○食卓    食卓の椅子に座り、朝ごはんのトーストを食べるおかっぱちゃん。    おかっぱちゃんのお皿とは別の小鉢には、    酢昆布が山盛りに用意されている。 ボブ「ぼぶ、ぼぶ、ぼぶ、ぼぶ」    と咀嚼音らしからぬ音を立て、    ボブはおいしそうに酢昆布を頬張る。 おかっぱちゃん「食べるんだ……」    おかっぱちゃんの髪の毛で出来たボブの両手が、    おかっぱちゃんの頭から伸び、小鉢の酢昆布を掴んでボブの口に運ぶ。 おかっぱちゃん(M)「ていうか、これ私の髪じゃあ……」    器用に酢昆布を掴むボブの両手を凝視するおかっぱちゃん。    居間のテレビからCMが流れる。 CM(声)「今をときめくフォトグラファー・ぽぷり。待望のフォトブック発売」    テレビには、風景を撮影するぽぷり(16歳)が映る。    ぽぷりの真っ白な白髪のショートボブが、幻想的な雰囲気を醸している。 ぽぷり(声)「お渡し写メ会、待ってます!」 母「あら、この子。おかっぱちゃんと同じ髪型ね」 おかっぱちゃん「ぽぷりちゃんが私と同じなんじゃなくて、 私がぽぷりちゃんと同じ髪型なんだってば!そもそも髪型全然違うもん!」 母「細かい子ねえ。どっちでも同じじゃない」 おかっぱちゃん「ちがうっ!全然ちがうっ!」    ブンブンと首を横に振り、否定するおかっぱちゃん。 ボブ「ぼっぶっ、ぼっぶっ」    揺さぶられ、酢昆布を口からこぼしそうになるボブ。 母「ほら、早く食べて。遅刻するわよ」 おかっぱちゃん「えっ!」    おかっぱちゃんはボブを見上げる。 おかっぱちゃん(M)「この変なのと学校……?」    血の気が引くおかっぱちゃん。 おかっぱちゃん「お母さん、学校行かなくちゃだめ?」 母「どこか具合でも悪いの?」 おかっぱちゃん「お、おなかが痛いような……」 母「朝ごはん綺麗に食べたわね」 おかっぱちゃん「あ、頭が重たいような……」 ボブ「ぼぶ?」 母「さっさと行ってきなさい!」
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