第1話 ボブ、あらわる

1/27
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ

第1話 ボブ、あらわる

○おかっぱちゃんの家(朝) 〇同・洗面所    洗面台。蛇口の水は流しっぱなしにされている。    子供用の踏み台に上るパジャマ姿のおかっぱちゃん(10歳)。    フェイスタオルを片手に、鏡に映る自分を見つめている。    洗顔し、濡れた顔を拭うことを忘れるほど、 おかっぱちゃんは何かに茫然としている。    鏡にはおかっぱちゃんの顔と、    おかっぱちゃんの黒黒とした椎茸のようなこけしヘアーが映る。    そのこけしヘアーには妖精ボブの目と鼻と口があり、    おかっぱちゃんに笑いかけている。 ボブ「ぼぶ!」    にっこりと笑い、おかっぱちゃんへ話しかけるボブ。 おかっぱちゃん「……へ?」 × × × タイトル「おかっぱボブ」 × × × 〇おかっぱちゃんの家(朝) 〇同・おかっぱちゃんの部屋    おかっぱちゃんはパジャマから黒いワンピースに着替え、    部屋のドアを勢いよくバン!と開けて飛び出す。    頭にはフェイスタオルをターバンのように巻いている。    タオルに覆われたボブは息苦しそうに、もごもご蠢いている。    ドアは勢いのあまり反動で半開きになる。    おかっぱちゃんはドアの大きな音に驚き、    今度は両手を添え、そっと静かにドアを閉める。    気を取り直し、走って居間へ向かう。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!