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自宅のドアを開けるや否や、帳は鞄を放り投げ、女性にもらった箱を開けにかかった。可愛らしい包装紙を破ると中からは意外と地味な箱が現れた。
なんだか包装紙とのギャップに違和感を覚えてしまうが、まあそんなことは些細な問題である。
高鳴る胸の鼓動を感じながら、帳は蓋を持ち上げた。
「・・・ん?」
その中身を何度も確認する。しかし、何度見ようが箱の中にはやはりソレしかなかった。
「スイッチ?」
誰が見てもそう思う程に、典型的な赤いボタン式のスイッチが一つ入っていた。
というか、どうやら箱自体に固定されているらしい。ひっくり返してみても、そのスイッチは箱から落ちてはこなかった。
「え?え、どういうこと?」
一瞬、スイッチ型のチョコレートなのかとも思ったが、材質などが明らかに食べ物のそれではない。というか、スイッチ型のチョコレートなんてデザインが斬新すぎて、意図も不明だ。
と、帳は自分の右手に収まっていた箱の蓋が目に入った。中身にばかり気を取られていたが、箱の裏を見てみると、そこには何か文字が書かれていた。
『responsibility』
「ええと、いや、どういう意味?」
帳の英語力では理解出来ない英単語がそこには書かれていた。それでも、アイラブユーの類いじゃないことくらいは見当がついた。
帳はガックリと肩を落とす。そりゃあ、冷静に考えてみれば、そうですよ。自分なんかにチョコレートをくれる人なんていないですよ。でもさ、ちょっと期待するじゃん・・・。
帳は嘆息すると、箱を床に置いた。が、またすぐに手にとった。
チョコレートではないにしろ、じゃあこれはなんだ?何のスイッチなのだ?
帳は好奇心に動かされるように、スイッチへと指を伸ばした。
帳の人差し指がスイッチを押すと、漫画のような『ポチッ』という音が響いた。
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