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「すみません。俺、バレンタインデーに貰っちゃいました」
「なあーにー!」
岡嶋は薄くなった頭を激しく揺らして、怒りの表情を浮かべた―――かと思ったら、すぐに「ふっふっふ」と奇妙な笑い声を漏らした。
「実は・・・俺も貰っちゃいましたー!」
「え!岡嶋さんも!」
「昨日帰り道でもらっちゃったわけよ」
「もしかして?」
「スイッチ!」
「スイッチー!!」
仕事中であることを忘れる程に、大の男が二人盛り上がっていた。
「いやぁ、でも正直俺知りませんでしたよ。バレンタインデーにスイッチを贈るなんていう風習に変わってたなんて」
「おいおい、お前はそんなんだから女にモテてこなかったわけよ。時代はもうスイッチよ?来年になればもっとたくさんのスイッチが贈り贈られされてるんじゃないか?」
自分だって全然モテないくせに偉そうに語る岡嶋を見て、いつもならイラッとするところだが、今の帳には余裕があった。おそらく岡嶋だって全然知らなかったに違いないと思いながらも、後輩らしく話を合わせる。
「そうっすね。せっかくモテ始めたことだし、今後は時代の流れにも敏感になっていきます!」
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