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「パパ根詰めすぎだよ、はい」
「あ、あぁ………すまない」
紙の代わりに暖かいカップが握らされ、顔を上げればトウカがコーヒーが入ったカップを俺に渡し、自分は缶ジュースを飲んでいた。
「パパったら眉間に皺よってるよ?もしかして詳しい情報がなくて追い詰められてる感じ?」
「………うるせえ」
トウカの言葉に、ほとんど図星だったので顔を逸らしながらもそう反論すれば、そんな俺にトウカはクスクスと笑うと手元の資料を一枚手に取り眺めながらも口を開いた。
「僕も紫ババアの怪談は何度か耳にしたことはあるけどさ、今回の場合は何で紫ババアが大切にしていた簪を探さないといけないのかってところにヒントが隠れているんじゃない?」
「簪を探す………?」
「特別大サービスで教えてあげるけど、怪談ってね時に実話が隠されている物なんだよ
例えばその人物とか、その土地とかに、ね………」
そう話すトウカの瞳は、いつのまにか金色に変わっており、トウカの話を聞いてあることを思いついた俺は、すぐさまノートパソコンを開きある検索ワードを打ち込む。
数分後、俺は車のキーを持って署を飛び出し、ある場所へと車を走らせるのだった………。
『えぇ、えぇ、よく存じてますよ』
都内のとある一軒家………ここは、林田正臣が通っていた小学校からほど近い場所にあり、一人の老婆が住んでいたのだが、突然の訪問にも関わらず老婆は俺とトウカを快く招き入れてくれた。
軽く挨拶を交わした後、俺はつい数十分前に調べたあることを老婆に話した。
それはもう何十年も前の事、あの小学校が立てられる前にあの土地に住んでいたある一人の少女の話の事なのだが、その事を老婆に話せば上記のような言葉が老婆の口から発せられたのだ。
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