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百物語集団失踪事件について、霧山爽太の記述
二十八話目の事件は、投稿者はその後救急車によって病院に搬送されたが、やはり死亡が確認された………。
司法解剖の結果は、表向きの死因は外傷による出血死だったが、検察官や解剖に立ち会った医師達は皆口をそろえてこう言っていた。
明らかな死因は、胃酸により溶かされたことが原因だ、と………。
しかも、長期間胃酸に浸かっていたらしく、少し触れただけですぐに崩れるほど投稿者の身体はボロボロだったそうだ。
だが、この現代にて胃酸に似たような物質は作れても、長期間純粋な胃酸に全身浸かれるような場所は存在せず、混乱を招かないようにと死因は外傷による出血死という事に決定したのだ。
あの大きく口を開けたモナリザの正体だが、調査の結果あの絵は何十年も前に投稿者の通っていた中学校に勤めていた美術教師が描いた物という事が判明した。
その美術教師は類まれなる才を持っており、中でも一番得意だったのはどんな絵画もコピーのような形でそっくりそのまま描けたのだが、その才能を悪事に利用されてしまったのだ。
というのも、この美術教師は本当は画家になりたかったのだが、いつの時代でも才能に嫉妬する輩はいるもので、画家の道を邪魔されてしまい、それならばと美術教師として子供達に絵を教えていた。
ところがまたしてもその幸せを壊さんと言わんばかりに、才能に嫉妬した輩が裏の業者と結託し、美術教師を脅していくつもの名画のレプリカを描かせたのだ。
それにだんだんと美術教師は心を壊し、ある日美術室で首を吊っているのを発見されたのだが、その時に美術教師が描き上げたのが、あの口を開いたモナリザだったのだ………。
そして運悪く、時代的にちょうど学校の不祥事事件が多発していたこともあり、教師達は事件を隠蔽するためにと、口を開いたモナリザの上に、モナリザのレプリカを貼ってしまったのだ。
トウカ曰く、あのモナリザには美術教師の怨念がたっぷりと吸われており、もっと生きたかったという欲が、モナリザを人食いモナリザに変えてしまったのだろうと言っていた。
そういえば、あのモナリザはトウカの血を口に含んだら、吐き出したのだがどれだけトウカの血は不味いのだろうか………
まあいい、今は目の前の事件を解決することに集中しよう。
何故なら、それが刑事としての使命なのだから………。
二十八話目の事件、解決………
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