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百物語集団失踪事件について、霧山爽太の記述
今回の十一話目の事件は、親子それぞれが骨だけ発見されるという結末に終わってしまった。
秋津絵里の母親は、その後夫婦喧嘩が原因で、夫を殺害し隠し場所に困っていたところで、何故か夫を食べたいと思い、気づけば夫を食していたのだと証言した。
そして実の娘もまた、夫を殺害してしばらくしてから食べたいという衝動に襲われ、何とか我慢はしていたが、遂に我慢にも限界がきてしまったのだという。
しかし気になるところが幾つかあるのだが、実を言うと後頭部の巨大な口から出てきた骨は、秋津親子の骨だけじゃなかったのだ。
古いものだと約数十年経ってあるのもあり、それがどうも十を軽く超える身元不明の骨が発見されたので、現在そちらも身元を調査中である。
秋津絵里の母親はというと、表向きは逮捕その後病気のために入院という事にしているが、どの病院に入院させられたのか俺も知らされていない。
聞かされたのは、秋津絵里の母親の後頭部にあった口は、奇病によるものだと聞かされたのだが、それも本当かどうか怪しい。
そうなのか?とトウカに聞いてみれば、昔から奇病扱いなのは変わらないんだねとケラケラ笑っていた。
そのトウカなのだが、話が十を越えたからなのか右目に十、左目に一と文字が浮かび上がっていたのだ。
ちなみに、トウカの体調不良は本人曰く秋津絵里の母親が飲み物に薬物を混ぜていたらしく、体調不良を起こさないと怪しまれるかと思い、わざと体調不良を起こす演技をしたらしい………。
ならせめて、俺にその作戦を伝えてほしかったというのもあったが、情けない事に俺は秋津絵里の母親の妖気に完全に当てられたのもあって、下手をすれば先に俺が食われていたかもしれないのだ。
じゃあ、お前は大丈夫なのか?と聞けば、トウカは笑ってこう答えた。
これでも長く生きてる方だから、と………。
相変わらず謎の多いトウカもだが、とにかく俺はまだまだ事件を解決するために、頑張らなければならない。
それが、刑事としての使命なのだから………。
十一話目の事件、解決………
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