夏の祭り

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そんな思いを、この夏に刻みたいと。   月曜日。  聖くんは席で本を読んでいる。  『人体の仕組み』。  彼のお父さんは医者で、隣の竹市町で家の隣に小さな診療所を開業していると聞いていた。  そこで。 「おはよう聖くん。」 「ああ、おはよう。」 「それ、医学書。」 「まあな。」 「じゃ、お父さんの、後継ぐって決めてるんだ。医学部目指すのね。」 「一応な。」  私は、医学系ではないけれど、生物か化学系の学部に行きたいと思ってる。 「それでね―――」   「―――ねえ聞いてー。」  またいいところで見世子に、誰に言うとなく声を上げられてしまった。 「昨日の卓球の試合、一回戦負けだったの。」   割り込まれたわけではないので抗議することもできない。 「しかもスコンクでよー。」  スコンクとは卓球の言葉で、一点も取れずに負けることを言うらしい。 「相手はどこだったんだ。」  聖くんが聞いた。 「梅村高校。」 「そうか、あそこは強豪って聞いてるから、仕方ないな。」  そうこうしているうちにチャイムが鳴る。  一限目は音楽。教室移動があるのでこれ以上話す時間はなかった。  そして音楽室。
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