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今日はお母さんが朝から具合が悪くお弁当が用意できなかったので、いつもの女子の輪を離れて一人学食で食べる事にした。
野菜炒め定食に、夏期特別メニューとしてデザートにパイナップルが出ていたのでそれも頼んだ。
口の中に広がる清涼な甘味は、爆ぜるように膨らんだ果肉。
世代を繋ぐための、芳醇な生命力の縮重。
どこかできいた話を思い出した。
軍隊では手榴弾の事をパイナップルと言うらしい。
形が似ているというのもあるが、そこにある現実は、きっと戦場の爆発。飛び散る人体。
人間の思考が生んだ思想の衝突。種が生きるためのものですらない戦い。
その生生しさを覆い隠すためにまた人間が生んだことばがきっとそれなのだ。
リトルボーイやファットマン。
原爆についた渾名まで然り。
その種の「一頭」として頭で理解したことはたくさんある。まるで爆ぜるような生命の芳醇。
私の体の中にも。
帰り、放課後の花壇。
早咲きの桔梗。
その文字どおり桔梗色の花弁。
その生命としての機能を自分に対比させて想起させる色。
生命の暗さが蠢いた漆黒と対比を成すような、流血の緋。
今時赤飯が出たりはしなかったけど。
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