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部屋のクーラーが壊れており、 暑さと酔いとのせいか、その晩私は奇妙な夢を見た。
どこか異国の、法廷。
私は被告席にいる。
この国は、春の祭典のような太古でもなければ江戸時代の日本でもない。不思議の国のアリスのようなおとぎの世界でもない近代のヨーロッパのどこかのような感じで、法廷を警備するカーキ色の軍服を着た兵士の装備は黒々としたサブマシンガンだ。
だが、行われることは一緒。
私は、なぜはわからないが、何かその世界を支えている思想を成り立たせるための『生贄』に選ばれたらしい。
形骸的な判決が出され、私は縛り上げられて広場に連れ出される。
怖いとかいう思いは、夢の中でも沸かなかった。
中央に穴が掘られ、柵の向こうの群衆は、何か粛然とした目で私を見ている。
そして穴の前に膝まずかされた私の後ろで、執行の兵士が引き金を引く。
その音で目が覚めた。
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