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典子
僕は街の中を目的も無くフラフラしていた。というのもさっき突然彼女にフラれて急に今日の予定が何も無くなってしまったからだ。
フラれた理由は特別ドラマチックでもなく単純にあっちが僕に飽きたというただそれだけだ。彼女はそうは言わなかったが、まぁだいだい察しはついた。
という訳で彼女に奢る予定だったお金でも使って、優雅な午後でも凄そうかと思い、僕は良さげな喫茶店でも無いかとフラフラしていたのだ。
そんなとき丁度お誂え向きの喫茶店があった。昔風の真白な木造の喫茶店だ。
しかし僕はその店の建物よりも窓から見える一人の少女に目を奪われた。
彼女は何か思い詰めているのかじっと外を見ている。僕は下心満載で喫茶店に入った。僕は店内を見渡すフリをしながら彼女を確認した。二十歳くらいだろうか、でもなんとも神秘的というか不思議な感じのする女の子でもっと年上かもしれないし、もっと若いかもしれない。
ただじっと外を見つめるその顔はとても美しく、少し外国人の様な雰囲気もあった。僕は彼女の姿を自然に見ることができる席を探して座った。
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