僕らは手紙を届けるために

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僕らは手紙を届けるために

「……パトリック?」 「え……?」  彼女と再会したのは、悪天候による飛行禁止命令が下されたため、空港で待機している時の事だった。 「うわー!やっぱりパトリックだ!すっごい久しぶり!元気ぃ!?」 「……エリー……? エリーなのか……?ほんとに──」  声を弾ませながら太陽のように破顔し駆け寄ってくる幼なじみに、僕はただ声を詰まらせていた。  僕らは、空を駆ける航空郵便配達員だ。  各々が軽飛行機である郵便機を操縦し、陸から陸へ、島から島へと手紙を届ける。  僕とエリーは航空学校時代からの幼なじみで、同じ道を歩んだ。  昔から明るい性格でイタズラ好きなエリーは、みんなの人気者だった。 「せっかくだからさ、命令解除まで一緒に過ごさない?」  昔と変わらない調子で、天真爛漫にエリーは言う。  命令解除。つまりこの雪がやんで視界も晴れて、仕事を再開させられるようになる事だ。  僕は戸惑いながらも、天気が回復するまで空港周辺を彼女と一緒にぶらつく事にした。
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