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「あら、ねえ、アキコ。ここに私たちの新しい子がいるわ!」
「あ、本当ね。はじめまして、ユミちゃん。そして、ようこそ、らぶゆーずへ!」
「こわくなかったでしょ?私も生まれ変わったのよ!」
「そうそう。あとね、このアイドルグループは、別名“泣きそうな子達を応援する隊”とも言うのよ」
「それ、もう古いしダサいから。まあ、そういう気持ちでやってるから。よろしく!」
かなちゃんは、らぶゆーずの握手会に来ていた。
まだ目は真っ赤だけど、せっかくチケットが取れたから、行っておかないと損だと思ったからだ。
メンバーが、全員奥から歩いてきた。
きゃーっと歓声が上がる。
少しぬれてる目をごしごしこすって、かなちゃんはメンバー全員に注目した。
みんなそれぞれちがうかわいい顔。
その中に、一人だけ知ってる顔があった。
一瞬びっくりして、でもすぐに笑顔になって、でも少しさみしいような…
ふふ、かなちゃんかなりあわててる。
それでも、わたしに向けて、口元をぐいーっと上げ、目を思い切り細め、えくぼを作った。
あの、見たら二度と忘れることのないニコニコ顔。
「ゆっちゃん、前よりずっとかわいくなった」
わたしを見つめながら、かなちゃんが言った。
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