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そう言ってるけど、クスッと笑っている。かなちゃんはダンスが得意だし大好き。
かなちゃんはわたしの手を引き、重いドアをギイーって開けて外に出た。
空は真っ黒の絵の具を塗りつぶしたように暗かった。でも、遠くにいくつかの小さな小さな星がまたたいていた。
もうおそくたって不安にはならなかった。
かなちゃんはやっぱり特別な友達、親友なのね。
かなちゃんとわたしは歩幅を合わせ、すぐにとんとんとわたしの家にたどり着いてしまった。
かなちゃんに手をふってバイバイするときは、いつもさみしい。
彼女はいつも笑顔で手をふってくれる。もちろん、心からの笑顔で。
わたしもできるだけ、仏頂面の顔をほぐしてにまーって口元を上げた。あら、妖怪みたいな不気味な顔になっちゃったかしら。でも、これがわたしがかなちゃんにできるせいいっぱいのニコニコなのよ。
家の灯りの下に小さく浮き出たかなちゃんの影。
それが徐々に伸び、うすくなっていった。
気づけば、かなちゃんはいなくなっていた。
さっきの時間がずっと続けばいいのに。
後ろから、ママのオニのようにこわーい声が聞こえ、振り向いた。そのまま手を引っぱられ、うす暗い玄関に入ると同時に、パタン…とドアがしまった。
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