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生と死なんて、まだ小学四年生のわたしたちには分からない。ていうか、縁がない。
だから次の日、学校に行ったときにかなちゃんがなぜかおそく来てえんえんと授業中ずっと泣いていたことも、
なぜか帰るときかなちゃん家の周りにたくさんの人がいて、みんな同じような黒い服を着ていたことも、
わたしには分からなかった。
「まあ、かなこちゃんのお姉さんが…」
「そうなのよ。まだ高一なのにね…」
「かなこちゃんに、美術部で作った作品をプレゼントするつもりだったんだって…」
それに心なしか、帰り道は風がびゅーびゅーなり、わたしの胸の奥がざわざわざわざわして、よその人に心の声が聞こえないかというくらいに感じたのは、気のせいなのだろうか。
一番不思議だったのは、その日かなちゃんが早く帰ってしまったことだった。
その知らせを聞いたのは、かなちゃんが早退した次の次の日だった。
暗い顔をしてかなちゃんが教室に入って来た。それからわたしを見つけるなり、わたしの少しぽっちゃりしたおなかに飛び込んで来た。
この前の授業のときより、うわんうわん、いやぐわんぐわんと涙をぼろぼろ流して泣いていた。
しずくが床にたまって、茶色がこげ茶にそまる。
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