睡魔は布団の中以外でもやってくる。

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睡魔は布団の中以外でもやってくる。

ある年の冬。 かなり寒い日であった。 1人の大学生が、寮の共用スペースで教科書とにらみ合っていた。 先日寝坊により受験できなかった科目の追試を受けるためである。 他の学生は試験の終わりとともに長期休暇に入り、旅行に宴会に出かけ、スペースには彼以外誰もいない。 そんな彼のテスト勉強。 モチベーションはかつてないほど高かった。 というのも、本来この科目では追試の実施はなかった。 しかし。 『冬だし起きれないよねぇ。しょうがないよー』 そんな教授の一言から、追試が行われることとなった。 この単位獲得のチャンス。 そして、教授の期待を絶対に裏切るわけにはいかない。 あくびを噛み締め、時計に目を移す。 23時50分。 追試当日は明日と徐々に近づいている。 しかしここまでの試験勉強は順調そのもの。 徹夜して勉強すればテストは必ずできる。 彼には自信があった。 残る敵は。 睡魔である。 だが、彼も進化を遂げてきた人間の一員。 対策は考えてあった。 それは、布団のある自室で勉強しないというモノである。 これまで、あの布団のせいで何度も何度も辛い思いをしてきた。 しかし、今回は違う! あの忌まわしき眠りの化身はここにはいない。     
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