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私はその名前に聞き覚えがある事に気付いた。
それにしてもどうしてここに…?
ふわりと笑って口を開いた。
「どうしてここに?そんな事が言いたげな顔してますね。」
心を読まれた?!エスパー?!
私が困惑しているとスピネルはクックックと笑いを漏らす。
「私は心を読めるわけではありませんよ、それにしてもスピネル。新入りさんをいじめてはダメですよ」
「んぁ?いじめてねーし、こいつはヨソモンじゃねーかよ」
いつもは私に威張ってくるスピネルさんが年下の少女にオドオドしているのが不思議で堪らなかった。
それにしてもヨソモン…か。やっぱり認められてないってことだよなぁ。
「まぁ、その事は置いておいて。ムーンストーンは一体何処へ行ったのかしらねぇ」
溜息を零す。その行動ひとつを取っても見蕩れてしまう。
「どーせ、直談判しに行ってんだろ。ムーンはお人好しだからな」
「スピネルはそんな所が好きなのよねぇ 」
「はっ、はぁ?そんなんじゃねーよ。あいつはどちらかと言うと…」
再び鈴が鳴ったように笑いスピネルを揶揄う。直談判…?誰にだろう。私は聞いてみることにした。
「あぁ、んーまぁそのうち分かるわ。それよりお客様、来てるわよ」
なっ?!いつの間に扉が開く音…した?いや居るんだからしたんだろうけど、、トンっと背中を押される。
「えっあっいらっしゃいませ。こちらをどうぞ」
カードを渡し、受け取るかを見る。その人と目線がバッチリ合う。
何故か背筋が凍るような恐怖がどこからか湧き出る。
「いえ。必要ないです。……」
最後にボソリと何かを呟く。そうしてお店の中を一通り見渡し、その人は帰って行った。
「なんだアイツ?ガーネットどうだ」
「ふーん、成程ね。さて、ムーンストーンを迎えに行きましょうか。きっと済んだはずだから」
なんの事だろう。2人はそれぞれ奥へ行き。お店には私一人が残された。
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