神崎美葵《かんざきみき》

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次の日、初めてお客様が来た。 「いらっしゃいませ。」 入ってきたのはいかにも真面目!って感じの男の人だった。 おっとこのカードを渡さないと。 「あのこのカードどうぞ。」 「ああ、ありがとう。」 その男の人の声はとても心にしみわたるような声だった。 「ここで幸せの種っていうのを売っているって聞いたんだけど。」 「あっこれですね。はいどうぞ。」 「はいこれ、お代。」 「ありがとうございました。」 「あの、名前教えてもらえませんか?あとLINEのIDと。あっ良けれ ばですが。」 「名前だけならいいですよ。」 「ありがとうございます。」 「ローゼナイトって名乗ってます。」 「ローゼナイトちゃんか、よろしくね。」 やっぱり心に響く声だ。そういえばお兄もこんな声だったな。 そんなことを考えていると、急に家に帰りたくなった。これがホームシックと いうものだろう。 私に家はもうないのだが。家族ももういないし。 その人が来て2日目は終わった。
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