神崎美葵《かんざきみき》

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3日目、4日目は一人も来なかった。そのことを報告するたびにムーンさん はとても悲しそうな顔をする。とても気になって聞いてしまった。 ムーンさんはポツリ.. ポツリと話しだした。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― あの日は朝から私は、種を売ってもいい人を探していた。何人か候補はいたが その人に接触すると宗教の勧誘かと思い去っていく。 そんなこんなでだいたい5時くらいまで粘っていたが誰もいなかった。 「今日はダメか...」 とつぶやくとポツリポツリと雨が降ってきた。私は濡れるのが嫌だったから近 くの雨宿りスペースまで走っていった。 あと数歩で着くというときに転んでしまった。立ち上がろうとすると頭上から 「大丈夫ですか?」という声が降ってきた。 声が降ってきた方を見ると、そこには優しそうな青年が立っていた。 そして手を差し伸べてきた。私はその手を取った。そして目を合わせると、 私は何も言えなかった。その青年の背後に種を売る条件が見えたから。 そして私はその青年にタオルを貸してもらった。青年は城本遼介《しろもと りょうすけ》と名乗った。そして私は、その人に種の話をした。すると、 「わかりました、時間があれば行ってみます。」 と答えた。そしてその人はまだ来ていない。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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