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最悪だ。
やべーよ。
とどめなく焦る言葉が頭から溢れ出す。
「尚樹…しゃん?」
ベタな少女漫画かよっていうくらいのシーンなのに、成瀬のいつもとは違うふにゃりとした危うげな儚さと小動物的な可愛さに心が擽られる。
こてり。
いつの間にか自分の片腕に頭を乗せて眠っているー…
え?寝た?!
…とりあえずここに置いて置く訳には行かないし。
「ちょっと動くぞ」
起こさないよう小声で告げる。
よいしょと体を反転させ、自分の背中に成瀬をもたせ掛からせたうえで、しゃがみこんで成瀬を負ぶる。
お酒のせいか成瀬の火照った体温が背中越しに伝わる。
内心軽装で来てよかったと思いつつ、成瀬を背負ったまま店を後にする。
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