1.僕の恋人は、浮気性。

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それ以降、彼と少し距離をおいた。 ひどい話だ。 勝手に恋心を抱いたからといって、自分で勝手に距離を置くなんて。 彼も当時それはそれは怒っていた。 もう彼の怒ったところは、見たくないと思うほど。 彼はついに堪忍袋の緒が切れたようで、僕をカラオケボックスに呼び出した。 僕ももう耐えられないと思って、縁を切ろうという思いで、呼び出しに応じた。 ◇◇◇ カラオケボックスに着くと、なおが先に席に着いていた。 『…なお。お待たせ。』 「…。」 お互いしばらくの間、無言が続いた。 口を先に開いたのは、僕だった。 『…なお。あのね…。なおの傍にもう居られない。…ほんとにごめん。』 怖かった。 自分から言っておきながら、「そっか」って納得されるのが怖かった。 ギュッと目を瞑る。 『……?』 何も返事が返ってこない。 ーーもう、返事をするのも嫌になったのかな。 そう不安に思って顔を上げると、 「やっと、こっち見た。」 微笑む彼がいた。 僕が驚きで目を見開いていると、 「りつ、最近目も合わせてくれないからさ~。 しかも、そばにいられないとか言うし。」 そう言って、ちらりと僕に目線をよこす。
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