1.僕の恋人は、浮気性。

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尚樹に初めて手料理を振る舞った時、 「律のオムライスが1番好きだな。」 とアーモンド型の瞳を細めて褒めてくれた。 だから今日は、久し振りに尚樹とご飯を食べれるからと思い、尚樹が気に入っていたオムライスを作ろうと思い付いたのだ。 しかし、肝心な卵が冷蔵庫に入っていなかった。 そこで尚樹が帰って来る前にと思い、急いで家に帰って来たら、この有様。 ーー僕は、何のためにここにいるんだろう。 ふと考える。 誰かに強制されたわけでもない。 いつのまにか彼を好きになっていた。 そして彼もこんな僕を「好きだ」と言ってくれた。 彼が「一緒に住もう?」って言ってくれて、ここに住むことになった。 でも。 “きっと彼はもう僕を好きではない” 分かっているのに。 もう、分かりきっているのに。 いつまでも彼の言った「好きだ」の言葉と約束に縋り付いている。
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