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右手で了承の意を込めてOKマークをつくる。
俺の態度に安心したのか佐々木は、封じていた手をどかすと、小声で再度問いかける。
「お前、男もいけるやつじゃねーよな。」
「うん(たぶんね)。」
それを聞くなり佐々木は、安堵の息を漏らす。
それを見て佐々木の想い人が男であることを確信し、驚く。
たしかに最近、(辰樹が読んでる)漫画とか(辰樹が観てる)ドラマとかで男同士の恋愛ものが人気であることは知っていたが、本当に現実で男が男を好いている場面を見たのは初めてだった。
ついでに思ったのは、これを見たら辰樹は珍しくハイテンションになるであろうことと、その想い人は、誰なのかがとても気になってくる。
「で、誰?」
往生際悪く、もじもじとしながら口を開く。
「…成瀬。成瀬 律。」
ー成瀬 律。
記憶を辿り、あぁ居たなと思い出す。
正直、この学校に入って顔と名前が一致しているのは辰樹とまとわりついてくる佐々木くらいだ。
そして関わりがないのに俺が覚えている人が1人。それが、成瀬 律だ。
なんで関わりがないのに知っているのかって言うと、とりあえず顔がいいから。
1度見たら忘れられないほどの綺麗さ。
本当に男?って思うくらいの綺麗な白い肌に艶々とした黒髪。加えて華奢な体躯。
パッと見たらショートの美少女っぽいけど、ちゃんと見ると綺麗な青年って感じ。
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