間宮 尚樹side

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意図的に和らいだ笑みを浮かべると、先程の発言を冗談だと受け取ったのか、溌剌とした笑顔を向けてくる。 「なんだよ!冗談にしてもタチ悪すぎるだろ!」 目を伏せる。 佐々木が向ける笑顔が眩しく映る。 そして、己の心は醜く歪み、黒く映る。 本当は自分が何をしたかったのか分からない。ただ、壊したくなる。 どうせ幸せになんかなれないものをみると。 現実を見ろと言いたくなる。 いや、それは自己満足か。 もしかしたら誰かの打ちのめされた顔が見たいだけなのかもしれない。 負の思いを断ち切るように、反対の腕で肩肘をつき、最後尾の席から目線の下にいる他の生徒を見、前を見て講義を聞いているフリをした。
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