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思い返すと、再度不快な気持ちが込み上げる。
もう既に引き返したい。
もう帰ってしまおうか。
駅まで進めた歩をとめ、駅に背を向けるー
「おーい、こっちこっち!」
バカでかい声が聞こえる。
無意識に舌打ちをしてしまう。
声のした方に視線を向けると、こちらに向かってぶんぶんと音が付きそうなほど、大きく手を振る佐々木がいる。
その周りには、もう既に佐々木が呼び集めたであろう人達がいる。
仕方なく、佐々木のところへ向かう。
すると会うなり佐々木が口を開く。
「おいおいー、帰ろうとしてただろ?おれにゃバレバレだぜ!」
「誰かさんのデカい声が聞こえたんでね、帰ろうかな〜と思ったんだよ。」
「は?!俺のせいかよ!」
佐々木とくだらない会話をするも、大勢の人集りのせいで声が掻き消される。
その代わりすぐ近くできゃいきゃいと騒ぐ女の声は耳障りな程耳に入る。
無意識に眉を顰めていたためか、佐々木が俺が不機嫌なのを察し、周囲に「おーい、みんな行くぞ!」と声を掛ける。
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