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肝心の佐々木は起きてないから、しょうがなく未だ船を漕ぎ続ける成瀬の肩に手を置き、揺すり起こす。
「成瀬、くん。…成瀬、起きろ。」
「…ん…?」
揺すり起こされて漸く成瀬が頭を持ち上げ、目をうっすら開く。
ーあ、やばい。
目が合ったその瞬間、焦りが襲う。
心臓が音を立てて鼓動する。
成瀬は目を擦り、俺に気が付くとへにゃりと力が抜けたように優しく笑う。
「…っ、」
ー可愛い。
思わず目を逸らし、手の甲を口元にあてる。
「まじかよ…」
「…?どう、したの?」
いつもとは異なる、酔いのせいでふにゃふにゃとした柔らかい表情を直視しないように目を泳がせる。
「あ…と、そろそろ帰った方がいいんじゃないかなと思って声掛けたんだけど…。」
どうしちゃったんだよ。
まじで顔が見れねー。
「あー…、うん?」
こてりと首を傾げる成瀬。
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