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入学当初から彼の噂は、飛び交っていた。
彼の両親は某有名会社の社長だとか、姉は芸能人の恋人だとか。
どうもイケメンやら美人やら、顔がいい目立つ人は、噂にされやすいのだろう。
当時は他人のことながら、難儀なものだなぁと同情したものだ。
僕の大学は、二年生の時にゼミを組むことになっている。
そのゼミ自体は、専攻で組み分けられていて、1つのゼミにつき、10数名で構成されていた。
そんな中、まさか入学当初から有名だった彼と、同じゼミになるとは思いもしなかったことだった。
彼を初めて見た時の感想は、かっこいいなぁ、と思う程度。
僕の兄も姉も贔屓目なしに見ても、端正な顔をしているので、そういった人は見慣れていると思ったが、噂されるだけあって、綺麗な顔をした人だなぁというのが第一印象だった。
講義も大体同じものをとっていたが、ゼミが同じとはいえ、彼の周りにはキラキラした人ばかりだし、とりあえず雲の上のような存在だと認識していたような気がする。
ただその認識が一変したのは、ゼミでの親睦会からだ。
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