175人が本棚に入れています
本棚に追加
「本当はライさんにもチョコあげたいし、遊びにも行きたいけど、チョコみたいに甘いものも人がいっぱいで騒がしいのも嫌いでしょ? そんなとこに俺と一緒に行っても、ライさんは楽しくないじゃん。それなのに付き合わせるのも悪いし」
希望はもう一度ライの首に両腕を回した。潤んだ瞳が揺らめいて、じぃっとライを見つめる。
「だから、今度は楽しいデートしましょうね。ふたりで!」
ぎゅっと抱きつく希望を好きなようにさせて、ライはしばらく考える。
希望にとっての『楽しくない』とは、つまり。
……ああ。
考えて、ライは突然納得した。
楽しくないって、そっちかよ。
馬鹿馬鹿しい、とライがため息をついた。それに気付いて、希望は不思議そうに首を傾げた。そんな無防備な姿の希望に、ライがふっ、と悪そうな笑みを見せる。
「楽しい、ってどんなこと考えてんの?」
「え?」
きょとん、と希望が目を丸くした。
「えーっと……買い物して食事して」
「いつものパターンだな」
デートプランをあっさりバッサリ切り捨てられて、希望はむむむ、と唇を尖らせた。
うーん、と唸って、パッと顔を上げる。
「映画は? 俺見たい映画があります!」
「またアニメだろ。何であれ、興味ない」
「え、じゃあ……あっ! オーケストラのコンサートチケットもらったんですけどどうですか? 東京スカイスターオーケストラっていう」
「二ヶ月前にお前が共演したとこか? 興味ない」
最初のコメントを投稿しよう!