バレンタインデー当日

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 希望なら、怒りよりも先にごみ捨て場でもどこでも行って、捨てられた愛の証を探し始めるのだろう。  結局のところ、希望が他人やその想いを蔑ろにすることはない。そのことは、どうにもできないのだ。    ライはしばらくの間、暗澹とした気持ちで希望の置いていった物を眺めていた。  すると、突然リビングの扉が開く。  ライが振り返ると、希望が立っていた。  下はショートパンツで、上はTシャツ。いつもはふわふわ跳ねている髪の毛が、しっとりと濡れている。頬や太股、露出している肌は全体的にうっすらピンク色に染まって、潤っていた。  室内は温度管理が徹底されて温かく、適温になっているとはいえ、今は二月中旬の冬である。明日には雪も降るらしいというそんな時期にしてはあまりにも防寒意識の低い姿だ。  そもそもなぜ、服が変わっているのかと、疑問を抱きながらも、ライは黙ったまま希望を眺める。  そんな視線などお構いなしに、希望はペタペタと裸足でライの元に駆け寄ってきて、目の前に立った。 「よい、しょ」  希望は黙ったまま自分を見上げるライに何の許可も取らずに、ライと対面する形で上に跨がって座る。ライの肩に両手を添えると、にっこり笑った。 「お風呂入ってきた!」  希望はそう言うと、ぎゅうっとライの首に腕を回して抱きついた。     
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