バレンタインデー当日

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 いつもよりもさらにしっとりとした肌がくっついて、風呂上がり特有の高い体温を感じられる。希望の髪や肌からはシャンプーとボディソープの香りが微かに香る。  希望の行動が理解できず、抱き付かれたままライはしばらく考えた。  一応考えたが、よくわからない。 「……あ?」 「ほら!」  希望が顔を上げた。 「これでもうチョコの匂いしないでしょ?」  にこにこ、と希望が笑う。  これで何もかも解決したね、と言うような顔をして、笑っている。  なぜか誇らしげな、そして無邪気な笑顔を前にして、ライは心底呆れてため息をついた。 「……そういう意味じゃねぇよ」 「? 甘い匂い、嫌だったんでしょう?」 「……」  ライがもう一度ため息をついて、黙る。これ以上何を言っても無駄なような気がしたし、もはや苛立つことさえ馬鹿馬鹿しくなってしまった。  そんなライを見つめて、希望は首を傾げる。そして、少し考えてから口を開いた。 「……もらったチョコは捨てないで食べるし、ホワイトデーにはお返しもするよ。  でもそれは友達との交流って言うか、イベントの盛り上がりに乗っかって楽しく美味しく過ごす為のもので……えーっと」  希望は少し言葉に迷って、ライから視線を外して考え込んでいる。けれど、すぐにライを見つめて、少し目を細め、困ったように笑った。     
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