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「じゃあ、ミュージカル! 劇団喜々の『歌う一等星とブルーホール』は関係者席で見れるよ! 母さんが」
「お前の母親が出資してるのは知ってるが、興味ない」
「……あぅぅ……あ、国立総合美術館のミューサ・エレガンの作品展! 三月までやってるから」
「お前がそいつの画集持ってるのは知ってる。でも俺は興味ない」
「なんで知って……、いや、うん……」
なぜライが希望に関する様々な情報を持っているのか分からなくて、希望は少し怖くなる。
けれど、それよりも、悉くデートプランを却下されていくこの状況の方が問題だ。悔しいし、悲しい。
「……水族館は? 海見に行ったりとか……」
「興味ない」
「プラネタリウム……星空観賞キャンプ……」
「興味ない」
「……」
デートプランがバッサバッサと切り捨てられて、希望はすっかり自信を失ってしまった。
困り果てたように眉を下げ、少し俯いて、上目遣いでライを見つめる。
「……ライさんの楽しいことって何ですか?」
「んー?」
希望は素直に尋ねた。困っている希望の表情とは対照的に、ライは楽しそうに薄ら笑っている。
ライは希望の質問には答えずに、希望の腰を抱き寄せ、首筋に鼻を擦り寄せた。
「え、え?」
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