第一次もふもふ戦争 勃発編

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とある男の一言がきっかけとなり、10月13日に第一次もふもふ戦争は幕を開けた。 「うちの子が1番もふもふしていると思うんだ。」 そこは日本中のもふもふ好き、通称モフリスト達が集まり、素晴らしきもふもふ動物たちを愛でるというまさにモフモフの祭典。ただ一つ自分のペットの自慢することだけは禁止されていた。うちの子可愛い戦争が始まるからである。しかし、男はその禁忌を侵し、目の前にいるアルパカさんを見下すように言い放ったのだ。これは許されることではない。進行役を努めていた新米モフリスト、綿野木綿はなんとか平静を保ち、男の発言を聞き流そうと次のもふもふ動物の紹介を始めるが、長年ルールを守り、規則正しくもふもふすることを生き甲斐としてきたモフリストたちは男の発言を流すことはできなかった。 「今のは明らかなルール違反だ!」 「すぐに処罰をするべきよ!」 「先代のモフリストを侮辱するのか!」 など口々に批難する声が上がり、もはやもふもふすることはできない状態となった。綿野は皆を落ち着かせようとなだめるが、もふもふへの誇りを持ったモフリストたちは新米の言葉に耳を貸さない。 「綿野、お前は進行役だろう!ちゃんと仕事をしたらどうかね!?」 「し、仕事と、言われましても・・・・。」 進行役は会議を妨害する者を退場させることができる。だが、これは基本和やかな会議の空気を悪くする行為として、誰かに危害を加えるなどの特異な例でもない限り、執行しないというのが進行役界での暗黙の了解となっていた。そのため、綿野は戸惑ったのだ。新米である彼にはこれが特異な事柄か判断がつかない。しかし、彼が悩んでいるうちに、男は立ち上がり、 「お前たちはわかっていない。真のもふもふというものを!」 と、演説を始めてしまった。 「真のもふもふだとぉ?」 「規則も守れない輩が何を偉そうに!」
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