バカの恋（上）～禁断の果実編～

１

「未成年が被害を受けた性犯罪なんかを調べると、実は児童性愛者所謂ロリコンみたいな男は少ないんだって。じゃあ、どうして男が未成年を狙うのかと云ったら、大人の女性は判断力がしっかりしているから騙せないけど子供だったら騙せるでしょ？　大人の女性を拉致しようとすれば、抵抗されて相手の身体に傷が付いてしまうし（身体に傷が付いてはいけないのは、標的となる女性の性的魅力を削いでしまうからとこの後で付け加えた）、逃走されたり、助けを求められたりして犯行その物が失敗するリスクも高い。勿論、大勢の仲間が居れば別だが、犯罪者になるような男は人脈や横の繋がりを作る能力だって欠けている奴も多い。では、そんな奴がどうやって自分自身の性欲を解消すれば良いかと云えば、未成年の女の子達が狙われるとこういうわけさ」
同じＦラン大学だから、あの男が言っていたことが総て正しいとは寺田も考えていない。その後、同じ教室に居た仲間達からは、
「じゃあエロ本でも買えば良いじゃん」
「ネットでエロ動画でも見れば良いのにねぇ」
などと反論されて男自身も答えに窮していた。性犯罪者とは、そう云う通常の一般人は誰でも思い付く発想も出来なければ、エロ本やネットで検索すればと云う知識や情報も無ければ、仮にその発想は有っても金が無いから合法的手段が使えない奴が多いなどと云った性犯罪の実態を知っていれば男の反論も少しはマシになっただろう。こういった知識は寺田自身も持っていなかった。
　その後、男はロリコン漫画を規制するのはおかしいと持論を展開していたが、寺田はその話はもう聴いていなかった。
　大人の女性が好きでも敢えて未成年を狙う理由が傾聴に値すると寺田は考えている。世のオタクも別に好き好んでアニメやゲームのキャラクターに恋をしているのではなく、本物の異性が手に入らないからアニメ・漫画のキャラクターを好きになるのではないか。それならば生身の芸能人やアイドルに恋をする者達と同じだ。本来欲しいモノが手に入らなければ代わりのモノで補うしかない。