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寺田は自分が歩いている道もアスファルトだと急に意識した。昔、大学に居たプロ野球マニアの山崎から教えられた解説を思い出す。彼の話は今自分が踏みしめている道と関係しているからだ。
「昔の金田正一さんや稲尾和久さんが連投しても勝てたのは当時のプロ野球は今よりレベルが低かったからってのも正直ある。横浜で監督を務めた権藤博さんも「昔のバッターで凄かったのは王さんと長嶋さんぐらいだ」って言っていたくらいさ。ただ、近頃の完投能力の低いピッチャーを見させられるのは僕も嫌でねぇ、やっぱりたまにピッチャーが完投とか完封とかして勝つのって凄く見応えがあるから好きなんだよね。リリーフ陣も休めるから次の試合だって有利になるし、ファンとしても連勝を期待出来るじゃん。リリーフ使い込んで勝っても明日先発が崩れたら無理そうだなって思うし。今の投手達は100球超えるとすぐに打たれ出すからね。お前ら、中6日休んでそれかよって文句も言いたくなるよ。サラリーマンは良い会社でも5日働いて週休2日だからね。僕は映像を見る限り、今の選手の方が球速や変化球などの技術は上がっていると思うんだ。でもパワーとは少し違うスタミナが昔よりも落ちたよね。それってやはり走り込みや投げ込み不足だと思う。投手の肩は消耗品だからバランスは難しいけど、肩が消耗品で投げ込めないなら走り込めば良いじゃんって思っちゃう。実際にそう考えているファンも多いし、元プロ野球選手の解説者の方達だって同じ指摘をする人は多い。でもねぇ、「走り込め」って今の選手達を批判している解説者達は致命的な見落としをしている。それは『道』だよ。俺の実家はケーブルTV入ってるから、ANIMAXとかキッズステーションとか見られるんだけど、カートゥーンネットワークだったっけなぁ? チャンネルは忘れちゃったんだけど、『天才バカボン』のアニメ版がやっていたんだ。調べたら放送年月日は1970年で、丁度、金田さんや稲尾さんが引退した1年後ぐらいだ。そしたら、アニメ版で描かれている道を見たら茶色いんだよ。『サザエさん』の道路も道が舗装されていないんじゃないかな。だからアスファルトじゃなくて土の道だ。だから走り込めたんだ。でも今は日本の球場も人工芝が増えてその下はコンクリートだからね。そんな足場で走り込んだら、スタミナが付くどころか骨に負荷が掛かってケガしちゃうよ」
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