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 宇都宮行きの快速列車が到着する。JR石橋駅へは約1時間半で到着する。列車の中はほとんどの乗客が此処大宮駅で降車したから閑散とした。寺田は東武東上線と同じく端っこの席に着座した。  これで片側に客が居なくて鬱陶しい思いをしなくて済む。  パズドラに飽きた寺田はアプリを終了して、他のゲームアプリを詮索し始める。寺田はダウンロードしただけでほとんど遊んでいなかった『プラントvsゾンビ』を始めた。個性豊かな植物達を植えて、襲い掛かるゾンビ達から自宅を守り通す『タワーディフェンス』と呼ばれるジャンルのゲームである。ゾンビ達はプレイヤーの脳髄を狙って、道路沿いから主人公の自宅に迫って来る。  何も考えずに、植物を植え、エネルギー源となる太陽光を集めてゾンビを撃退していくと、寺田は自分が全く脳味噌を使っていない感覚を得た。ゲームをしている自分が脳を失ったゾンビになったと錯覚したのだ。  寺田は一旦iPhoneから目を離し、電車内を見回していく。家族や友人と喋っている人以外は皆己々のスマートフォンに釘付けである。スマホに釘付けになっていないのはスマホが使えない年寄りと買い与えられていない幼い子供だけだった。大人達は全員スマホゾンビ。寺田も再びゾンビに戻った。
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