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たけしは龍のベッドにばふ、と腰を下ろし、ため息をつきながら何気なくベッド脇のサイドボードの小さな引き出しを開けた。
「あっ!」龍が慌てて叫んで立ち上がった。
「おおっ!」たけしが大声を出した。「おい、おい、ひろしっ! と、とんでもないもの、発見したぞ!」
「なんだなんだ?!」ひろしもばふ、とベッドに飛び込んだ。
「やめろっ!」龍は慌ててたけしの肩を掴んだ。
「コっ、コっ、コンドームっ!」ひろしが大声を出した。
「さ、触るなっ!」龍は慌ててたけしが手に取ったそのプラスチックの包みを取り上げ、元の引き出しに入れてばたんと閉めた。
「さあ、龍、聞かせてもらおうか」たけしが静かに言った。
「そうだ。真相を聞かせろ。俺たちが納得するように」ひろしも言った。
龍は真っ赤になって、二人の顔を落ち着かないように交互に見た。「ひ、一人でやるときに使ってるんだ……」
「なんでわざわざコンドーム使う?」たけしが言った。「何の意味があんだよ」
「俺もティッシュで十分だが」ひろしも言った。
「や、やっぱりさ、先々実際に使うことを考えると、い、今のうちから慣れといた方がいいだろ?」
「先々? 近々誰かとそんなことする予定、あんのか?」
「やっぱ、彼女、いるんじゃね?」
「しかもカラダの関係……」
「ちっ、違うよっ!」
「おまえ、自分で買ってるのか? それ」
「そ、そうだけど……」
「相当なエロだったんだな、龍って。知らなかった」
「すでに俺たちの手の届かないところにいやがったのか……」
「恥ずかしくないのかよ、買う時」
「恥ずかしいに決まってるだろ。でも必要なんだ」
「必要? 恥ずかしいけど必要? そんな恥ずかしい思いをして、しかも小遣いをはたいて買うほど必要だってか?」
「そうか!」たけしが手を叩いた。「忘れてた」
「どうした? たけし」
「重要な場所を調べるのを忘れてた」たけしはそう言うと、ベッド脇のゴミ箱をあさり始めた。
「たけしっ! お、おまえ、何やってる?!」龍はまた慌てふためいた。
ゴミ箱には丸まったティッシュがたくさん入っていた。
「やっぱりだ」たけしはそのうちの一つを取り出した。「何かが包まれている」
「使用済みコンドーム?」ひろしがたけしに身を寄せた。
「や、やめろっ!」龍は二人につかみかかった。ひろしはとっさに龍を羽交い締めにした。
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