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わたしの胸の鼓動が突然早くなった。
なんだ?どういう意味だ?彼の雰囲気が・・・変わった。
何か・・・胸騒ぎがする・・・
彼は続けた。
「先生、わたしからのお題です・・・と、け、る、で・・・」
「なんだって?」
「まず、と から・・・時計を見て先生」
わたしは思わず自分の腕時計を見た・・・秒針が時を刻んでいるだけ。
わたしは何をしているんだ・・・これでは彼の言いなりのままじゃないか。
彼は笑っていた・・・なんだ?何を考えているのかわからなかった。
「時計を見て・・・先生、あと数分後に」
彼はそこで言葉を切った・・・妙に楽しそうだ・・・
数分後?なんだ・・・言葉遊びか?いや、違う・・・何か・・・
不安と恐怖を感じていたが、強気に言い放った。
「冗談はやめて、まじめに始めよう」
彼はまるでわたしの話を聞いていないかのように話し続けた。
「け・・・計画通り。る・・・ルールはわたしだ」
わたしは動揺しながらも頭の中で整理した。
と・・・時計を見て先生、け・・・計画通り、る・・・ルールは
わたしだ・・・
彼のわたしを見る目・・・あれは人間のものではない・・・あれは・・・
彼の自信に満ちた冷たい声が響き渡った。
「先生に謎はと、け、る、かな?」
わたしは冷静さを失いかけていた。
わたしを言葉巧みに操り、支配下に置こうとしている。
自分に何度も言い聞かせた。
何を恐れることがあるんだ?主導権はこちらにある、彼は囚われの身だ!
「チクタク、チクタク、時間がないぞ」
彼は愉快そうに言い放った。
わたしは怒りを抑え彼をしばらく観察することにした・・・
彼が他人を観察するように。
「先生、あれから五分ぐらい経ちましたか?」
その問いかけを無視したかったが、腕時計を見て時間を確認しこの茶番に
終止符を打つべく強気に言い放った。
「ああ!だから何なんだ!遊びは終わりだ!さあ・・・」
彼は笑うのをやめて言った。
「おや、先生・・・めずらしい。感情をあらわにするとは・・・申し訳
ない・・・そろそろ時間ですね」
そう言って机の上にジャラジャラと手錠された両腕を差し出した。
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