第5章 俺なんてそんなモノだよ

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「まさか、まだ結婚してないなんて、思ってなかったわ。」 その後も、無言は続く。 アイスコーヒーの中に入っている、氷の音だけが、聞こえてきた。 「……誰か、いい人いなかったの?」 「いい人ねぇ……」 課長の流すような言い方が、私を悲しくさせる。 「もしかして、私以外にいい人がいなかった?」 「アホか。」 そう言って二人で笑っている感じ、私の背中にズシーンと、重い物を乗せてくる。 帰ろう。 こんなところにいたって、憂鬱になる。 私が、席を立った時だ。 椅子の足に、自分の足を、ひっかけた。 「おっ、とっと。」 そのまま、片足で2,3歩、歩いた時だ。 「大丈夫ですか?」 課長の声が聞こえた。 「だ、大丈夫です。」 持って来た財布で、サッと顔を隠す。
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