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夜が明けた。目覚まし時計がけたたましく音を立てた。
メールが来ていた。見ると夢美からだった。私は緊張しながらその内容を読んだ。
『おはよう!
昨日はとてもいい………
エイプリルフールだったね!!!
あの日のために用意した嘘でみんなが騙されてくれて満足です(* ´ ? `* )
本当は病気でもなんでもないよ。病院に呼ばれたってとこから嘘だよ!
( ・´ー・`)ドヤァ』
私は唖然として、笑うことしか出来なかった。
数日後から始まった学校では、クラスメイトたちから夢美がいじられていた。
「ひどいよ夢美!本気で心配したじゃん!!」
「あっはは、ごめんごめん!いやぁ、楽しかったなぁ。ビデオ通話の時に笑いをこらえるのに必死だったよ!」
「心配して損したよ……」
*
だけど、それは真実だった。3ヶ月後、夢美は亡くなった。夢美と同じくらい頭の悪い私には病名を覚えられなかったが、どうやら不治の病だったらしい。それも末期で、あのエイプリルフールにそう診断されたのだということだった。
「なんで嘘だなんて……言ったの?………今こそ……嘘だよって笑ってよ…ねぇ」
冷たくなった夢美にいくら話しかけても、返事は返ってこなかった。
ある日の夕暮れ、夢美からメールが届いた。私は目を疑った。内容を急いで確認した。
『やっほー
ごめんね、嘘ついて。あれが嘘だって言ったのが嘘だったんだよ。
……あれ?合ってる?わかんなくなってきちゃった。
このメールが届いてびっくりしてると思うけど、私が死んだら私の携帯から送ってもらうように予めお母さんに言っておいたんだ!すごいでしょ!!
ここに感謝と、謝罪を。
今まで本当にありがとう。友達だった期間は友情の深さには関係ない。私達は本当にいい親友だった。こんな私となかよくしてくれて、本当にありがとう。
今まで本当にごめんなさい。宿題の範囲を夜な夜な聞いたり、もらったプレゼントなくしちゃったり、本当に迷惑ばっかりかけたなぁと反省してる。生まれ変わって出会ったら許して欲しいな。
皆のお陰で私がいた。今までありがとう。いつかまた、会えたらいいね。』
涙が止まらなかった。1日中といって過言ではないほど泣き続けた。
「ありがとう………夢美」
ありがとう、夢美。
最期まで、「夢美」のままだったね。
ありがとう。
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